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未知の世界へのぼんやりとした憧憬と狂気の冒険の巻

  • Sayoko Yajima
  • 10月17日
  • 読了時間: 5分

更新日:10月18日

さて突然ですが、今日は私のライフワークの一つである “エキゾティシズム” こと、未知なる世界(異国、異文明)への憧れ、を都内随一体験できるおすすめスポットをご紹介したいと思います。


赤坂ホテルニューオータニのガーデンタワー4階に位置する、“漠然とした南国(行ったことないけど)への憧れ”を余すところなく現してくれているレストラン、めくるめくエキゾティカの金字塔「トレーダーヴィックス」です。


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以下、まずはホームページからの引用です。

1934年以来、“トレーダー(商人)”ヴィック・バージェロンの名前を冠したトレーダーヴィックスでは、ここに訪れる皆さまを、日々の日常から、灼熱のアイランドへ誘います。パプアニューギニアや、ポリネシアなどの本格的な工芸品に囲まれ、オリジナルカクテルを味わい、世界中のめずらしい料理を頬張りながら、私たちと一緒に日常から抜け出してみませんか?

だそうです。注目すべきは、「パプアニューギニアやポリネシア諸島」というざっくり赤道近くの南の島まとめたよー!というこの公式のステイトメントです。(ちなみにハワイ島からパプアニューギニア島まではおよそ5500kmほど離れています)。遠い...!良いですね...!!全方位で好意的な意味での、未知の世界への浮ついた憧れ、全力のポリネシアン「風」です。


本物じゃないポリネシア。本物じゃない日本、エジプト、ローマ、月... 何でも良いのですが、行ったことのない場所への憧れは、たとえそれが誤解まみれでも想像と冒険に溢れていて、私はなんていうか、それも一つの表現で作品なのではないかと思うのです。偽物とかキッチュ、とかでは片付けたくない。だって行ったことのない別の銀河の未知の星には現代の私たちも好き勝手想像したりする、それは十分にロマンティックで誠実で愛に溢れているのだから。


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ちなみにこの漠然とした南国への憧れは1950年代に巻き起こったアメリカのエキゾティカブームが源流です。当時ほとんどのアメリカ人は、ポリネシア諸島やざっくりその辺(遠い海の向こう...)に関して正確な知識はなく、完全に絵葉書の中の世界... あるいは変わり者の探検家が現地から持って帰ってきた木彫りの面からインスパイアされる、憧れと恐怖と誤解まみれの異文明...としか感じていなかったであろうと思う。


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幕開けは1933年の禁酒法解禁に登場したトロピカルカクテルの登場。その「トロピカル」という魅惑的な音感と南国の果物のお酒、見たことのない神々の彫像、そうこうしてるうちに眼を閉じれば聞こえてくる怪鳥の鳴き声... のような流れにより、ざっくりとした南海の印象が文字通り酔っ払って花開き、火を吹いたというわけです。ポリネシアン風大流行。それに乗じてマーティンデニーを代表とするエキゾティカミュージックの登場、南国のありとあらゆる鳥の声真似を音楽にした名曲などが有名です。私はこの当時のエキゾティカミュージックに大変傾倒しており、(ポリネシア周辺、以外の国や文化への憧憬表現もこの時期多く、大変面白いです)大好きなライフワークとして掘り下げていきたいと思っているジャンルの一つです。


では、店内をまずはご覧ください。現地(どこの現地かは定かではない)への燃え盛る情熱の火を松明に灯してご入場ください。たくさんのティキ(神々)が出迎えてくれます。


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いいですね。冒険が始まります。

ふと見上げると、はりせんぼん(他にも色々吊ってある。吊りものは高揚する。)。


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Trader Vicsと言ったらトロピカルカクテルです。なのでまずは、ポリネシア最東に位置するイースター島の守護神的な像、モアイ像カップによるトロピカルカクテルを早速いただきます。サファリングバスタードというカクテルです。男性におすすめですと書いてありますがなんででしょう。


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かなり太めのきゅうりが豪快に入っている(イースター島ではきゅうりは栽培していません)のは、男性におすすめの理由ではないとは思います(美味しかったです)。


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器がどれも素晴らしいです。海の向こうへの溢れてこぼれ落ちる憧れを優しく抱き留める大容量南国カップ。ちなみにトレーダーヴィックスのカクテルは基本的にラム酒をベースとした海賊の飲み物(漠然とした)が多いです。全体的に、肩に目の覚めるような太陽の色の鳥や小さな猿などを乗せてぼろぼろの海図を見ながら飲むとちょうど良い感じの味わいです。


これはヴィックスイッチという、ラムベースにバーボンとトロピカルフルーツの入ったカクテルです。南海の神々の意匠。


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たつのおとしごに入ったパッションフルーツとメロンとラムのカクテルです。海賊の夏季休暇味です。


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カリブ海の海賊なのでとにかくラム酒です、ラム酒を飲みます。南の島の食べたら不味そうな赤い魚に入った海賊の飲み物(中身は結構シナモンがきいたスパイシーなココナッツ味。)


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と思ってメニュー見たらこれはテキーラベースでしたすみません。ということでメキシコ湾から上陸して、内陸の酒場で一休みした海賊の飲み物です。


わたしも着実にこの大いなる歴史のぼんやりした引用(そしてロマンに溢れた)であるエキゾティカアドベンチャーの一員になってきたように思います。



虫のようにただただ南国の蜜を吸うわたし。

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そして最後にサーヴィスで出てきたショコラに添えられた紙ナプキンに心を奪われ、すみませんこれあともう1枚ください...とお願いしてみたら、思ったよりいっぱい持ってきてくれました。意図を完全に汲んでくれているホスピタリティ...


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Trader Vics本国では毎年新しいトロピカルグラスをリリースしていて、それと連動して日本にも同じ物が入ってくるようです。こちらはトロピカルグラスお持ち帰りコーナーです。私が慌ててあれもこれもと購入、そして新作の質問を矢継ぎ早に投げかけていたら若干戸惑っていらっしゃったので、私のような客はあまりいないのか...。皆さんこの素敵な店への貢献のために、もれなく冒険の思い出をこちらでご検討ください....


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東京で随一の、赤道線界隈エキゾティカことティキの冒険でした。

お持ち帰りしてきたカクテルグラス。うれしい。


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異国憧憬の独自研究は続きます。


追伸:

三年前に誰もいない場所で無目的な文章がだらだらと書きたい...という思いでここを開設し、以来完全に放置して本当に誰もいなくなった、集中力持続力共に人間とは思えない短さの私のぼんやりとした空間ですが、ふと思いついて再開してみたら、意外と楽しいのでまたやってみようかなと思っています。



矢島沙夜子



 
 
 

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